段ボール原紙とは、段ボール表面の紙であるライナー原紙と、中の波形の中芯原紙の総称です。
原料の概ね90%以上が段ボール古紙、雑誌古紙などの古紙であり、リサイクルの優等生です。
ボックスティッシュやお菓子の箱などに主に使われています。1枚の紙のように見えますが、写真のように多層になっており、5層から多い場合には9層のパルプシートを重ねて抄きます。層毎に違う種類の古紙パルプ・フレッシュパルプを適宜使用し、古紙の有効利用に繋げています。
王子マテリアでは、王子グループの環境憲章の行動指針の一つである「紙のリサイクル」の下、集められた古紙を最大限有効活用しています。
古紙の有効利用は、国内資源の節約、紙ごみの削減という観点からも、循環型社会を支える重要な柱一つとなっています。
王子マテリアで使用している主な古紙は下記の通りです。
▲段ボール古紙
※段ボール原紙に使用されます。
▲雑誌古紙
※段ボール原紙・白板紙に使用されます。
▲ケント
製本、印刷工場等より発生する一部色刷りのある上質紙及びコート紙の裁落
▲上白
印刷してない白色上質紙の裁落及び損紙
▲白アート
製本、印刷工場等より発生する印刷されてない上質紙
古紙は住民参加型のリサイクル資源の典型であり、1.使い手(消費者・企業)の皆様による初期分別、2.集め手(古紙問屋・回収業者)・作り手(製紙メーカー)のリサイクル向上に向けての取組み、3.三者の密接な連携、が欠かせません。使い手である消費者や企業の皆様には、分別基準に基づいた分別を確実に行って頂くことを是非ご協力お願いします。分別の基本は「分ければ資源、混ぜればゴミ」、「異物を混入させないこと」です。
回収に出す段階でなるべく分けて頂くとリサイクルがしやすくなります。回収を行っている自治体、団体の皆様にはこの基本を使い手の皆様に広めて、分別が不十分なものがあれば、改善して頂くよう、対応をお願いします。古紙の分別基準については、公益財団法人古紙再生促進センターの古紙標準品質規格をご参照ください。但し、自治体によっては異なる場合がありますので、お住まいの自治体での分別方法をご確認ください。
近年、雑がみ回収の拡大に伴い、紙に混入させてはいけない「禁忌品」などによる、製造トラブルが増えています。
分別の際には金剛しないよう十分ご注意ください。禁忌品の中でも王子マテリアで特にトラブルが多いものとしては、次の通りです。
昇華転写インクを印刷した紙で、主に布などに絵柄や文字を転写するのに利用されます。アイロンなどで熱をかけてプリントできることから、商業用のほか、雑誌の付録や手芸用の商品として一般でも使用され、裏文字になっているのが主な特徴です。
最近では、カバンや靴などアジア圏からの輸入雑貨の中に緩衝材として昇華転写紙が入っていることがよくあります。写真のように、インクの付いた昇華転写紙を白い紙で覆って、型崩れ防止に詰められていることが多いようです。
昇華転写インクは常温で徐々に昇華する性質(気化・気体となる性質)があります。仮に紙箱の材料となる白板紙の原料に混入した場合、数ヶ月後(パッケージ類をお客様に納入した後)に製品の表面に赤や青のシミが現れ、血やカビのように見えてしまいます。これではお客様の製品包装に使用できないため、回収し焼却処分しなければならなくなります。メーカーでもリサイクルする前にチェックしていますが、昇華転写インクは現在の古紙処理技術では完全除去ができません。昇華転写紙を発見された際は必ずゴミとして廃棄してください。
点字や立体印刷などの凹凸に利用される樹脂製発泡(膨らむ)カプセルが塗布されている紙です。製造工程で加熱する際に原料中に混入した発泡カプセルが発泡するため、紙の表面に凹凸ができ、製品として出荷できません。
線香、石鹸、洗剤の箱などの強い臭いがついた紙は、古紙処理工程で完全に脱臭することが困難な為、製品に臭いが残ってしまいます。
パラフィンなどの薬品を塗布または浸みこませ耐水あるいは耐油加工を施した段ボールです。輸入された野菜・魚介類のパッケージに多く使用されています。これらが古紙に混入していると、製造した段ボールにシミが発生し、製品として出荷できません。
※国内外での古紙利用の概況や、グループ全体の古紙利用の考え方などについては、王子HDのホームページをご参照ください。