資源循環、省資源化への取り組みは、古紙、木材という持続可能な資源を事業に利用する当社にとって、特に注力すべき要素です。特に古紙においては、当社は古紙を日本一多く使用する企業として、長年に亘り、さらなる古紙の利用促進と事業活動における環境負荷の低減に取り組みを続けるなど、常に高い責任意識を持って資源の有効利用を続けています。
当社製品の原材料として使用される古紙、木材チップは、資源循環可能な資源として、非常に高い適性を持っています。当社は、古紙を中心とした紙のリサイクル、木材を中心とした森のリサイクルと地球温暖化対策に積極的に取り組み、製品・生産工程に取り入れることで、地球環境の保全に努め、社会に貢献していきたいと考えています。
紙のリサイクルとは、紙の原料である繊維(パルプ)を再資源化することです。紙をリサイクルすることで古紙が資源に、パルプがリサイクルされることでパルプの原料である木材資源が節約されます。また、紙ごみの削減という観点からも、古紙の利用は私たちにとって欠かせない取り組みとなっています。古紙を主原料とする段ボール原紙、白板紙を主な事業として展開する王子マテリアは、古紙の再資源化に対しさまざまな取り組みを続けています。
これまでは禁忌品として古紙再生に適さなかった、ビニール貼合品や金・銀紙等が含まれた難処理古紙の再生に取り組んでいます。例えば佐賀工場に設置された難処理古紙専用の溶解設備「ニーディングパルパー」により再生された古紙パルプは、段ボール原紙の中しんなどに使用されています。王子マテリアでは、リサイクル困難な古紙のサンプルも受け入れ、繰り返し再生に向けたテストを行うなど、より幅広い古紙の利用に向けた取り組みを続けています。
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▲禁忌古紙
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▲ニーディングパルパー投入口
王子マテリア江戸川工場では、オフィスから発生する廃棄困難な機密書類を、高いセキュリティを確保した環境で回収し、梱包状態のまま溶解処理を行い古紙パルプとして再生する機密書類リサイクルシステムを事業者向けサービスとして展開しています。再生された古紙パルプは工場で生産される、ティシュ、洗剤、菓子などの包装用の「白板紙」の重要な原材料として使用されています。資源循環型社会に即したシステムとして、環境保全とリサイクルに広く貢献しています。
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▲機密古紙
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▲機密古紙処理場
森林は、光合成による再生可能な循環型資源であり、紙の原料となる木材繊維を供給しています。王子マテリアは、この木材からパルプを製造する工程で分離される黒液を活用しCO2の発生を低減するバイオマス燃料として使用しています。このような紙のリサイクルの他、紙ごみ、廃プラスチックなどを固形燃料化するRPFなど、非化石エネルギーとして有効利用することで、事業活動におけるCO2の低減を図り地球温暖化対策に貢献しています。
大分工場に配備された紙ごみと廃プラスチックから作った固形化燃料を使用するRPFボイラーをはじめ、パルプ産業に特有の黒液をエネルギーとして利用する呉工場の回収ボイラーなど、王子マテリアは国内各拠点に、非化石エネルギーを使用する設備を積極的に導入し、事業活動で発生するCO2の削減に取り組みを続けています。
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▲RPFボイラー(大分工場)
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▲回収ボイラー(呉工場)
紙のリサイクル、森のリサイクルの推進に加え、地球温暖化対策として廃棄物をエネルギーとして利用するための技術導入も推進しています。パルプの製造工程で発生する黒液をバイオマス燃料として、また古紙収集の際に混入するプラスチックなどを燃焼させるエネルギーとして有効利用しています。事業活動に関わる全ての面からリサイクル、有効利用に努めることで、より地球環境にやさしい事業活動の実現を目指しています。
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▲パルパより排出されたプラスチック
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▲廃プラスチック